スペインを代表する羊乳チーズ「ケソ・マンチェゴ」

世界羊旅26カ国目 スペイン

 

ヨーロッパの羊文化を語る上で、欠かせない国「スペイン」

 

 

スペインでは古代から移動牧羊が行われており、ヨーロッパでもイギリスに次ぐ牧羊国として知られています。

羊毛のなかでも最高級といわれるメリノウールを生産するメリノ羊も、スペイン生まれです。

メリノ羊はスペイン帝国が独占し、この羊種を国外への持ち出したものは死刑に処せられるほど厳しく管理されていたとのこと。

結果的にこのメリノ羊はスペイン大航海時代を築く莫大な富を生み出しました。

今のスペインがあるのは、メリノ羊のお陰といっても過言ではありませんね。

 

スペイン原産のメリノ種。

しかし、今回スペインにはメリノ羊を見に来たわけではありません。

 

目的は2つあり

1つは、スペインを代表する羊乳チーズ「ケソ・マンチェゴ」の生産者を訪ねること。

もう1つは、カスティーリャ・ラ・マンチャ地方の名物である乳呑仔羊「コルデロ・レチャル」を食べること。

コルデロ・レチャルとは、母羊の母乳のみで育った生後20日~40日の仔羊の肉。

スペインの中でも、カスティーリャ・ラ・マンチャ産は極上品です。

 

さっそく、マドリードでレンタカーをピックアップしてジウダー・レアル近郊にある羊乳チーズ工場へ。

引用元:Google社「Google マップ、Google Earth」

カスティーリャ・ラ・マンチャ地方はスペイン中部に位置し、「マンチャ」とはアラビア語で「乾いた土地」を意味します。その名の通り、降雨量も少なく夏場は極度の乾燥に苦しめられます。

ちなみに、このラ・マンチャ地方は文学史のなかで最も有名な作品のひとつである「ドン・キホーテ」の舞台となった場所です。

 

今回、旅を共にしたフィアットのパンダ。

 

 

ラ・マンチャ特有の風車。ドン・キホーテが巨人と勘違いして闘いを挑んだ風車です。

 

 

途中、大量の羊を引き連れた羊飼いに遭遇。

 

 

圧巻の牧羊風景を前に、道草を食ってしまいましたが、無事にケソ・マンチェゴの生産者のもとへ到着。きれいな建物です。

 

ケソ・マンチェゴとは、スペインNO1ともいえるほどの知名度を誇る羊乳100%のハードタイプのチーズです。文学史ドン・キホーテにも登場した歴史あるチーズです。

 

内装もとてもきれいでおしゃれ。2年ほど前に建て替えたらしいです。

今回、見学させて頂いたのはオーガニックのケソ・マンチェゴを生産する「FincaFuentillezjos」

一般見学は受け付けていないのでご注意ください。

 

生産工場も案内して頂きました。低温殺菌機。
隅々まで清掃が行き届いている清潔な工場です。

 

仔羊由来のレンネット。

 

 

ケソ・マンチェゴといえば、表面の網目模様が特徴です。

 

 

表面の模様は、エスパルト(アフリカガヤ)を編んで作った「ブレタ」と呼ばれる型によるものです。
しかし、現在はEUの衛生基準で籠が使用できなくなってしまったので、
ステンレスやプラスチックのモールドに入れて独特の模様を再現しています。

 

 

 

ケソ・マンチェゴの証であるカゼインプレート。

 

熟成庫。湿度は75%~90%に保たれている。

 

 

熟成期間は1.5㎏以下のチーズで、最低30日以上。
それ以上のチーズは最低60日間の熟成が必要。最長熟成期間は2年です。

 

飼育されている羊達も見せて頂いた。
ケソ・マンチェゴの製造には、ラ・マンチャ地方原産の「マンチェガ」という品種の羊乳しか使用できません。
基本的に1年中放牧しているそうですが、この日は真夏日でしたので羊達は畜舎にいました。
ユニフォームは羊のアロハ。めっちゃほしい。
工場の周りには300ヘクタールの放牧地が広がっています。

そして工場を後にし、2番目の目的である「コルデロ・レチャル」を味わいにジウダード・レアルへ。

今回訪れたのはRestaurante Alquimiaというレストラン。

前菜は、夏にぴったりのガスパチョ。

 

お待ちかねのコルデロ・レチャル。
コルデロのラムチョップチュレタス(chuletas de cordero)と呼ばれています。
ドライローズマリーでスモークされていますね。
生後20日~40日くらいまでの仔羊。まだ牧草などは食べておらず、母乳のみで育ったものです。

 

 

筋肉も充分に発達していないため、ミオグロビン量が少なく肉食は白っぽい。

・・・・・・・。

今まで、オーストラリア産、ニュージーランド産、イタリア産の乳呑仔羊(ミルクフェッドラム)を食べましたが、

ラ・マンチャ産は別次元です。

 

よくミルクフェッドラムは、ほんのりミルクの香りがすると表現されますが

このコルデロ・レチャルは、ミルクに肉を漬け込んだんじゃないか?くらいにしっかりミルクの香りがします。

 

肉質も非常に繊細で、今まで食べてきたミルクフェッドラムは何だったんだろう?と思わせるくらいの衝撃でした。

 

ちなみに、スペインでは

生後1年以上のマトン→カルネロ

生後1年未満のラム→パスクアル

生後45日程度で、体重15㎏以下の仔羊→レセンタル

と呼ぶそうです。

 

今回は、一人旅+レンタカーの運転があったのでノンアルコールでした。

いつかまたスペインに行って、コルデロ・レチャルで1杯やりたいですね。