風車、運河、自転車、そして羊の国「オランダ」
世界には千種類以上もの羊品種が存在するといわれています。
それぞれの品種に個性があり、どの品種が優れているとは一概には言えませんが、一つの指標として「羊の競売での落札額」があげられます。
以前スコットランドで行われた羊の競売で、ダブル・ダイアモンドと名付けられた仔羊が5200万という高値で落札され、世界一高価な羊となりました。
その世界一高価な羊は、オランダ原産のテクセル種という品種です。この品種は1万ポンド(140万円)以上で取引されることも珍しくないそうです。
羊一頭5200万って凄いですよね。
そんな羊界のサラブレットであるテクセル種の生まれ故郷を一目見ようとオランダまでやってきました。
テクセル種の羊はオランダの北海岸沖にあるワッデン諸島のテセル島で生まれました。
首都のアムステルダムからは電車とフェリーを乗り継ぎ2時間くらいです。
せっかく自転車の国に来たので、自転車をレンタルしました。
テクセル種の羊は小さなテセル島で誕生しましたが、今では国内羊市場の70%のシェアを占めるオランダを代表する羊品種となっています。
それだけでなく、2012年のEBLEX british sheep breed survey.によると歴史ある羊王国「英国」の羊市場でも27%のシェアを占めているそうです。調査ではテクセルは国内で2番目に普及している品種で、英国原産のサフォークをも凌ぐ普及率です。
なぜここまでテクセル種が普及しているのか。その要因として、卓越した赤身の美味さと優れた産肉性、高い多産性が挙げられます。
テクセル種の羊は1世紀以上前に、テセル島の在来種とレスター、ウェンズリーディール、リンカーンなどの英国品種と交雑させて誕生したと言われています。
テクセル種の顕著な特徴は、脂肪が極めて少なく発達した筋肉による優れた赤身です。
さらにテクセルは丈夫で従順です。出生時の死亡率が低いことに加え、乳量が多く母親は子育てが上手です。
多産性も高く、雌羊1頭あたり1.7~2頭の仔羊を産みます。
そして成長速度も速く、牧草ベースの肥育で優れた肉質に仕上がります。
こうした育てやすさも、高い普及率の要因のひとつです。
テセル島で食べたテクセルラム。
日本でもテクセルを飼育している羊飼いさんが複数いるので、機会があれば仕入れさせて頂きたいですね。
世界羊旅はまだまだ続きます。