地中海に浮かぶキプロスの伝統的なチーズ「ハルミチーズ」

 

世界羊旅12カ国目 キプロス

地中海に浮かぶ小さな島国キプロス共和国。

その国土は四国の半分ほどしかありませんが
1万年以上の長い歴史をもつ国です。

キプロスでは世界に先駆けて、羊と山羊の家畜化が始まり羊のデザインの硬貨があるほど、キプロスの人たちにとっては羊や山羊は身近な動物です。

 

景色のいいレストランで食べたキプロス産の仔羊

そして今回この国を訪れたのはキプロスの伝統的なチーズ「ハルーミチーズ」の生産者を訪ねるためです。

 

ハルーミチーズとは、羊乳と山羊乳から作られるセミハードタイプのチーズです。非熟成なので色が白く、防腐目的で塩蔵されています。

海沿いの眺めのいいレストランで食べたハルミチーズ。

ハルミチーズの最大の特徴は、その融点の高さにあります。

一般的なチーズは加熱すると溶けますが、ハルミチーズは、高温で揚げても溶けることはありません。

さっと表面をグリルすれば、香ばしいチーズの香りと山羊乳と羊乳のコク、そしてキュキュッというハルミチーズ独特の噛み応えがクセになります。

 

ハルミチーズは世界的にも人気で、特にイギリスでは非常に人気が高いそうです。

 

しかし、人気が出て需要が大きくなっていくにつれて羊乳と山羊乳だけではなく安価で豊富にある牛乳を原料に加え始め、伝統製法のハルーミチーズは入手困難になってしまいました。

日本で手に入るハルミチーズには、殆ど牛乳が入っています。

キプロスには20世紀にイギリスから牛が導入されるまで、島にはほとんど牛がいなかったことから、キプロスの人たちは牛乳入りのハルーミチーズは、伝統的なハルーミチーズではないと言っています。

 

そこで、日本では味わえないトラディショナルなハルーミチーズを知りたい一心から、ラルナカ空港からレンタカーで3時間かけて、山岳部にある人口わずか20人の小さな村にむかいました。

見渡す限り山です。
羊飼いの家に到着しました。

 

小さな村で頑なに伝統製法を守り続けるStefanosさん。チーズ作りはお母さんの担当です。
自分たちで羊と山羊を飼育して、乳を搾り、チーズを作っています。
保存性を高めるためにミントを使用するのも伝統的な手法です。
試食させて頂きました。日本で食べていたハルミチーズとはまるで別物です。深いコクとミントの爽やかな香りがたまりません。
羊の飼育を担当するお父さん。
山羊
羊。
かわいい。
手搾りかと思ったら立派な搾乳機がありました。

ギリシャ語も話せない見ず知らずの若造に丁寧に伝統製法の素晴らしさを教えてくれたStefanosさん一家にはとても感謝しています。

 

どんなに周りが変わろうとも先祖代々受け継がれてきた伝統を守り抜く。

 

とても勉強になった羊旅でした。