地球の裏側で育つパタゴニアンラム【アルゼンチン/エルカラファテ】

実は、今回の世界一周羊旅の決め手となったのが、このパタゴニアンラムと南アフリカのカルーラムでした。

世界的にも有名なこのブランドラムが、どういう環境で育ち、どういう味になるのか。どうしても、自分の目と舌で体感してみたかったのです。

カルーラムは前回のブログ記事で書きましたので、今回はパタゴニアンラムについて書いていきます。

強風が吹き荒れる寒く乾燥した大地「パタゴニア」

まずパタゴニア地方とは、南米大陸の南緯40度付近を流れるコロラド皮以南の地域の総称です。パタゴニアは年間を通して、寒く、強風が吹き荒れます。

パタゴニアの強風は世界一ともいわれ、最大風速60m/sを超えることも珍しくありません。(風速60m/sは自動車が横転するほどの強風です。)

地図で見るとこの辺りです。

パタゴニアはアルゼンチンとチリ両国にまたがっており、どちら側にも羊はいますが、気候条件は全く異なります。

チリ側は、南西からの強い偏西風がアンデス山脈にぶつかり、比較的雨が多いのに対して、アルゼンチン側は偏西風がアンデス山脈にさえぎられるため乾燥が激しく半砂漠状態になっています。

 

またパタゴニアは氷河の国とも言われています。南パタゴニア氷原から連なる氷河の数は大小50以上あるといわれていて、その規模は、南極、グリーンランドに次ぐ量といわれています。

 

今回訪問した牧場の近くにも、有名なペリトモレノ氷河がありました。この氷河の上をトレッキングして、叩き割った氷でウイスキーを飲むのが定番らしいですが、今回は車の運転があったため断念です。

世界に名高いパタゴニアンラム。

パパタゴニア地域の羊肉は、地理的表示保護制度の対象として承認されるなど、その品質はヨーロッパ市場でも高く評価されています。

おもなEU輸出先は、フランスやスペイン、 ポルトガルなど。日本には、2018年にアルゼンチン産肉の輸入が解禁されましたが、羊肉はほとんど市場には出回っていません。

羊と氷河の町「エル・カラファテ」

今回、パタゴニアンラムを味わうために拠点として選んだ町がエル・カラファテです。このエルカラファテは、町を歩けばいたるところに羊がいます。

羊毛も売っていた。しかも安い。

 

エルカラファテは小さい町ですが、氷河観光の拠点となっているので、ホテルやレストランが多いのも特徴です。

そして、そのほとんどのレストランで羊肉料理が味わえます。

料理を注文する際に注意したいのが、味の濃さ。

寒冷地なので、どこのレストランでもかなり濃いめの味付けでした。

薄味でオーダーすると丁度いいと思います。

名物の羊の丸焼き。メイン通りを歩くとそこらかしこで丸焼きをしています。
パタゴニアンラムの生ハム
パタゴニアンラムのシチュー。
骨付きパタゴニアンラムとマッシュルームリゾット、カラファテソース。カラファテとは、この町の由来となったブルーベリーに似た木の実の名前です。
パタゴニアンラムの睾丸を使った前菜。
パタゴニアンラムのラビオリとマッシュルームグラタン。
パタゴニアンラムの煮込み。
パタゴニアンラムのリゾット。
街の入り口にあるファストフードのハンバーガー屋で、ラムバーガー。あらびきで結構おいしい。
左下のコルデロ・パタゴニコですね。スペイン語でパタゴニアンラムという意味です。
もちろん名物のアサード(丸焼き)も頂きます。
肉は乾燥しないように、ニンニクと塩と水で作ったサルムエラを塗りながら南極ブナを使用した薪火でじっくりと焼き上げます。
焼きあがった肉には、チミチュリとペブレつけて食べます。肉焼き技術の高さもさることながら、肉質は非常にやわらかく脂身も甘味があって美味しいです。

パタゴニアンラムの美味しさの秘密を探るためエスタンシアへ向かう。

 

果てしない荒野です。エルカラファテから60㎞ほどのところにエスタンシア(羊牧場)はあります。
パタゴニアには手つかずの自然が残っています。
1時間ほどで牧場に到着しました。牧場主の家の周りには、山羊の群れが。羊達は、広大な牧場を自由に動き回っているそうです。
羊を見せてほしいと牧場主に頼むと、「自由に見てきていいよ」と遠くを指さしました。肉眼ではよく見えなかったので、カメラの300mmの望遠レンズを使って見てみると遥か遠くに羊の群れが。徒歩で30分くらいはかかりそうです。
牧場は強風が吹き荒れ、そこら中に動物の骨が落ちていました。
群れに近づいていくと、羊達が私に気付きました。
パタゴニアには4.000~5.000m級の峰々が連なります。

肉質も優れたアルゼンチンメリノ。

パタゴニアのラムは主品種は、アルゼンチンメリノです。 メリノと聞くと小型の羊毛種のイメージが強いですが、アルゼンチンメリノは 肉質も優れています。その理由は、フランス原産の、メリノ種の中でもっとも大きい、 産肉性も高いランブイエ・メリノとの交配で誕生したのがアルゼンチンメリノだからです。

羊達は南米特有のイネ科の植物「コイロン」を食べて育ちます。このコイロンは南にいけばいくほど栄養価が高いそうです。その理論でいけばここは南緯50度を越えているので相当いいコイロンなんでしょうね。

今回、実際に現地に行ってみて、とても感動しました。だけど遠すぎます。

なので、うちでも少し仕入れてみました。この機会に地球の裏側の羊肉を味わってみてはいかがでしょうか。